06.車の装備

 場所に依るが、冬季は11月始めから4月一杯はスタッドレスタイヤが必要である。八ヶ岳の麦草峠を越える国道299号は、10月末に雪が降り、普通タイヤでは通れないケースが数年に一度程度ある。また開通後の4月29日に雪が降り、スタッドレスタイヤでない人はチェーンを巻かなければ通れないことがあった。突然の降雪があったり、山菜取りなどで山に入ると凍った所や残雪がある。そのためこの期間はスタッドレスタイヤが必要である。スタッドレスでも二駆の場合はチェーンは必携品である。因みに国道299号は麦草峠の両側で冬季閉鎖(年によって若干変わることがあるが11月27日から4月19日まで。なお信州観光ルートの閉鎖情報は、日本道路交通情報センター(長野情報)、026-244-0011まで。)で教えてくれる。  チェーンは最近非常に進歩し、素人でも平らで雪がないところならジャッキ無しで十数分で着脱できる金属製の物が出ている。実質価格1万数千円でやや高価であるが、一種の知恵の輪の応用で、非常に着けやすく、グリップが抜群である。二駆でスタッドレスタイヤの駆動輪に付けたときは四駆のスタッドレスだけの場合と同等の力を発揮することもある(但し走行速度は精々40km/hまで)。材質は接地面に焼き入れ鋼チェーンを用い、亀甲形になっていて、且つチェーン材の断面が丸ではなく四角になっているものがよい。最近のものは着け安さのためプラスティックでカラーコーディネートされている。“かさ”もあまりなく、小さな鞄の箱にすっきりと収まる。着け易いようにタイヤの内側の雪を除く小さなシャベルと汚れ防止の腕まで入る長いビニール手袋を用意しておくと良い。  チェーンはスタックしてから付けると恐ろしく手間が掛かるので予め先を読んで付けやすい所で付けておくのがコツである。  雪道に対してはABS(EBD付きならなお良い)は他の付属機能に対して第一優先で装備すべきである。もし無いと下りカーブなどでスリップするとハンドルが効かなくなり必ず道路の端につっこみスタックしたり横転したりする。ABSがあってもスタックしたときの用意に、ロープ、手袋、防寒具、懐中電灯、小型スコップを常に持参することも大切である。  普通タイヤに着けるチェーンか、通常はスタッドレスで緊急脱出用にチェーンを着けるのか、などでチェーンの選択が異なる。  普通タイヤを用いている場合は、走行速度が50km程度まで伸びるプラスティックチェーンが便利である。但し、グリップは金属チェーンにかなわない。  長いトンネル(関越トンネル、八風山トンネル、・・・)内では金属チェーンが禁止されている場合がある。プラスティックチェーンなら付けたままでトンネルに入れる。しかし、他の車の走行速度が70km以上あるので渋滞を招くので、結局外した方がよい。 スタッドレスタイヤを用いている場合には、チェーンは緊急脱出か、深雪か、凍結した急傾斜の時のみ使うので、強力な金属チェーン(車速30~40km/時まで)がお勧めである。  なお、スタッドレス着き四駆は雪道に対して絶対的に強力であり、チェーンは殆ど要らない。それでも雪道での実質的な制動距離や回転半径は乾燥道路での諸元よりずっと大きくなる事を知っている必要がある。四駆は通常の道路でも回転半径がやや大きいこと、燃費が少し悪いこと等を承知で購入する必要がある。室内の静かさなどは二駆と殆ど変わらない。  雪道のカーブで横転したり突っ込んだりしている車は殆ど四駆である。四駆の過信である。下りカーブではスタッドレスタイヤでABS機能があっても制動力は極端に下がり、回転半径は思っているよりずっと大きくなるからである。 冬季気温が-10~-15度、時に-20度になる八千穂では不凍液は-25度を目安に入れている(水1:不凍液2)。夏でもそのままで大丈夫である。ただし3~4年に一度入れ替える必要がある(最近の新車は購入時に-20度まで耐えるように不凍液を入れてある)。  車の雪払い用の刷毛を用意しておくと便利である。プラスティックナイフが反対面にあり、且つ氷カキが柄に着いているものが便利である。最近の車は天井が高いので、若干長い柄の付いた雪落としが便利である。仕舞うとき一寸かさばるが。  駐車するときは突然の降雪に備えて常に出る方向に向けておく配慮が必要である。またノーマルタイヤの二駆では雪が降ると分かっているときは予めチェーンを付けておくことも大切である。  二駆の場合、踏み跡のない深い雪(20センチ以上)では、スタッドレスでも無力である。またその様なときは、道路の縁には30センチ以上の雪がある。車を寄せると必ずスタックするのでチェーンは、予め、必ず着けるべきである。  スタッドレスの着いた四駆で有れば雪質にもよるが、20~40cm程度の新雪ならゆっくりであればそのまま走れる。  但しUターンの時は予め腹に当たると思われる場所の雪を取り去ってからUターンをする必要がある。最近の車は風の抵抗計数(Cd値)を低くするため、床下を一面、平にしてあるので雪の上に乗った時、下の雪が潰れず、車体を支えてしまうので車が空転しやすくなるのである(亀の子現象)。  雪道を走行する事が多かったり、雪のあるところに駐車したりすることが多い場合は、必ず四駆を選ぶことである。スキー場の駐車場(無舗装)にスタッドレスの二駆を止めると、一見平らでも圧雪してないので、出るときはたいていスタックする。弾みを付けるか二三人で押さないと出られないことが多い。四駆なら問題ない。  なお雪に対して車の最低地上高は重要で、一般に乗用車は14cm前後で、高級車ほど低い。欧州車は低い場合が多い。乗用車では、高いものでトヨタハリヤが18cm、ジャガーXシリーズが17cm、プログレ/ブレビス(2007年より販売停止になった)が16cm、クラウン/マークII(マークX) は14~15.5cm、欧州車は12~13cmのものが多い。日本車は四駆になると最低地上高が低くなる傾向があるが、欧州車は僅かではあるが高くしているケースが多い。  なお、欧州車(ベンツCクラス、BMW3シリーズ)の小型四駆セダンは回転半径が非常に小さく5mまたは4.9mであるが、右ハンドルはない。アウディ、ワーゲン、ジャガー、ボルボなどの四駆乗用車には右ハンドル仕様がある。それらの回転半径は凡そ5.2~5.4m程度であるが最低地上高は低い傾向がある。 これらの数値は中型以上のセダンの場合であって、小型なら別な数値になる。またヘビーデューティーの車なら国産では勿論、ベンツやBMWにも右ハンドルがある。  現時点では日本車に比べて欧州車は燃費が10~20%悪い場合が多い。更に欧州車は日本車に比べて一般に燃料タンクが小さい。  四駆は原理的に回転半径が大きい。回転半径は小さいにこしたことはないが、我が国で使う場合、私の経験であるが、5.6mでは非常に使いにくいが、5.4mになると急に楽になる傾向がある。でも願わくば5.3m以下であって欲しい。  蛇足であるが、車の運転は、男性の場合、平均すると70歳ぐらいから奥様に「危ないからそろそろ控えたら」と言われることがある。彼女たちは日常生活で主人の体力や運動神経をよく見ている。また運転の様子も横に座って見ているので割合良く掴んでいる。主人が体力に見合った運転をしている限り不安を感じないので余り五月蠅く言わないが、男性は往々にして若い人と同じように運転出来ると思っている。彼女たちはそれを鋭敏に感じ取る。  運転技術はその人の老化の程度で異なる。個人差が大きいから年令だけで判断してはいけない。80歳でも運転できる人が居るし、70歳でも危ない人が居るものである。しかし、その人なりに年相応に老化していることは間違いないので注意を要する。  70歳前後で、自分が年を取ったなと思ったら(例えば、駅の階段を登るのが少し疲れるようになったな、家の階段を降りてくるとき知らず知らず手摺りにつかまるようになったな、何でもないところで僅かによろけたりバランス神経が悪くなったな、躓くことが増えてきたな等と思ったとき)、高速道路でのスピードは追い越しでも100km/hを超えないようにすること、通常なら90km/h以下を保つことである。それが(精神的に)出来ないときはむしろ危険であるので直ちに辞めることである。公安委員会でも70歳からは免許証の有効期限は最大3年で、更新の度に実地試験がある。事故を起こすと自分だけではなく他人にも大きな迷惑を及ぼすからである。  なお、年を取ると疲労し易くなり眠気が来やすくなる。頻繁に欠伸が出だしたら直ちに最寄りの休憩所で仮眠を取ることである。10分か15分程度仮眠すれば十分である。年寄りドライバーで居眠り運転で事故を起こしそうになった人が沢山居る。  序でながら高速道路の混雑について若干触れておきたい。五月の連休、八月のお盆前後、春秋の行楽シーズン、振り替えの三連休等の時期には、中央高速道を例に取れば、下りは遅くも朝7時までに乗ることが重要である。出来れば6時半までに乗りたい。7時を過ぎると20km、30km渋滞に入ることを覚悟しなければならない。また夏休みは休日は勿論、ウイークデーでも同じ渋滞になる。また渋滞時に一般道に降りると返って時間が掛かるのが普通である。  この渋滞を予め知っていても、小さな子供を連れた夫婦、都会遊びで寝不足な若者はこの時間帯を避けることが出来にくいので渋滞時間は何時も同じである。帰りも翌日の子供の学校に備えて、或いは夕食を現地で済ませた若者も運転のために酒を飲めず、また何時間も時間潰しが出来にくいので、夜中に掛かるような走り方はしないので夕方3時から夜11時までは渋滞となる。可能ならば夜11時を過ぎて出発すれば比較的空いている。  行楽シーズンの三連休では、行きは金曜日の夜、土曜日の朝、日曜日の朝などに分散するが、帰りはそれらの人の多くが最後の休みの日に集中する。多くの人はホテルのチェックアウトの10時に出発するので、その人達より早く高速に乗るつもりで出るとよい。

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