01.はじめに

よく建築雑誌の中に山小屋建設のノウハウに関する記事が出ている。時には数頁に渡って注意事項を書いてある記事も見掛けるが、やはりそれが直接の目的ではないので物足りない場合が多い。 1992年末、長野県南佐久郡八千穂村(2005年に町村合併で佐久穂町となったが、今までの習慣上八千穂という名をそのまま用いる)の標高1,200メートルの村営別荘地に小さな山小屋を建て、15年が経過した。その間我々夫婦が週末を利用して滞在した日数は延べ八百日に及ぶ。この経験を通して一般の方々が山小屋(山荘、別荘)を建てる場合の建築・設備に関するノウハウを記してみた。特に寒冷山岳地に建てる場合に重点を置いて述べた。 このノウハウは八千穂の山岳地域に特有なことであること、小さな山小屋の経験であること、自分達の趣味に偏っていること等から、全ての人に参考になるものばかりではないかも知れない。しかし寒冷山岳地に山小屋を建てようと思う人にはきっと役に立つことと思う。 この山小屋を男の隠れ家(実際には夫婦の隠れ家)として利用したり山で遊んだりしている様子は、拙著「山小屋が呼んでいる」(文芸社、2006年5月刊)に詳しく記してあるので、ご興味のある方はそちらをご覧頂きたい。ほぼ同じ内容が家内のホームページ(http://www.koyo1001.com/)にも載せてある。

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