八千穂の別荘地から車で20分の所に村営スキー場がある。
八ヶ岳連峰の東側は積雪量が多くないので、人工雪が主であるが、標高1700メートル前後と高いため、雪質は非常に良い。
村営なので、このスキー場には家族が昼食持参で休める小綺麗でゆったりした無料休憩所が有る。我々は昼少し前に出かけて、午前中一時間、午後一時間ほど滑って帰る。その間、休み時間をたっぷり摂るので、この休憩所は有りがたい。
標高1800メートルのリフトの頂上からは、北に雪を被った浅間山、東に荒船山、南東に奥秩父の金峰山等が一望できる。
スキーシーズンになると、別荘地の住人に、リフトの割引シーズン券申込書が送られてくる。地代、固定資産税を納めているので、村民と同じ割引率でシーズンリフト券が買える。五十五歳以上は更に割り引きされる。
我々はシーズン中10数日行くので、行くたびにリフト券を買わなくて良いのでとても便利である。
ここに来るスキーヤーの中で、我々は何時もダントツの最年長である。五十を過ぎたと思われるスキーヤーは殆ど見掛けない。夫婦共にやる場合を除いて、歳を取ってまでは、なかなか続かないスポーツなのである。
山小屋ができて、頻繁に来るようになると、自然に家内もやるようになり、何時か二人でシーズンを待ちわびるようになっていた。
しかし、八千穂に行って二年目のシーズンだった。スキーにはまった家内がスキー学校に入ったため、私は多少疲れ気味であったが、手持ちぶさたなので、一人で少し急なゲレンデを滑っていたが、うっかりアイスバーンで転倒し、初めて骨折を経験した。MRIで見て貰うと、右足のすねの骨にひびが入り、靱帯伸張、半月版損傷であった。三、四ヶ月は松葉杖であった。
60歳にして生まれて初めての怪我であったが、凝り性もなく次のシーズンには再び滑っていた。今ではどっちの足を折ったのか自分でも勘違いするほどである。車の運転ができなかったから右足であると覚えている。まだ仕事は現役であるので、みんなに迷惑を掛けてはいけないと、大事をとり、金具の締め具合を緩くして、すぐ外れるようにして置いたが、実はこれが危険で、ちょっと重い雪や深い雪に入っただけで外れてしまい、大転倒になるのである。それからはやや強く締め、慎重に滑っている。
それ以来、家内と二人で初心者コースで滑っているが、時々少し急なコースを取る。急なコースはやはり力が入るので疲れる。また怪我をして会社の仲間に迷惑が掛かってはいけないと思うので、自重している。それでも66歳になっても滑ることが出来るのは有り難いことだと感謝している。
家内ももうすぐ還暦であるが、めっきり腕を上げてきた。少し急なコースでも、速度は遅いが、何とか安全に降りてくる。山小屋を建てた頃、殆ど素人だったことを考えると、不思議な気がする。昨年は、子供のお古のスキーと靴とストックを捨てて、新調し、今年はウェアーも新らしくなった。私が選んだウェアーがすっかり気に入って、今年はなんとしてもウェアーに負けないように綺麗に滑るのだと張り切っている。
その後、不思議なことに二人とも少しずつ上達している。2003年の今ではこのスキー場の一番急なゲレンデでも、余り迷わず降りてくるようになった。家内は?歳、私は68歳である。 先日草津の振り子沢と清水沢を何度も滑った。 そこでは、何と草津の全てのコースを滑りまくる84歳と76歳の夫婦が居た。上には上がいるものである。