今日は家内がパソコン教室に行くので、一人で山小屋に来た。家内がパソコンに凝りだしてから、私は一人で来ることが多くなった。それはそれで楽しい。
来るとき、家内が「一人で行くのだから、ゆっくりスケッチでもしてきたら」と言うので道具を持ってきていた。上手な仲間と行くと、色々教わることが多く、とても有益だが、彼等に面倒を掛けることが多かった。一度一人で描いてみたいと思っていた。
でも、昨夜まで、土留め工事をするか、スケッチに行くかで迷っていた。本当は土留め工事の方がやりたいのだが、このままだといつまで経っても”一人スケッチ”は始まらないので、「エイヤッ」とかけ声を掛けてスケッチに出掛けたのである。
先週、山の紅葉の進み具合を見るために稲子湯の方まで出掛けたついでに、松原湖に寄り、スケッチのポイントを探しておいた。今日は、その時見つけたポイントのボート小屋の対岸のベンチに陣取った。
紅葉は既に終わり、僅かに茶色に変色した葉が所々に残っている。外はかなり寒い。人出も疎らで、時折二三人が通り過ぎて行く程度である。天気は晴れたり曇ったりで、気温は六、七度ぐらいであろうか。 朝出てくるとき、長袖のシャツと長いズボン下を履き、冬のカッターシャツを着て厚手のセーターにフリースを羽織り、更に膝掛け毛布を用意してきた。 イーゼルを立て、やおら描き始める。次第に青空が広がり、日が射すが、時折陰る。雲の変化も大きい。
白いボート小屋を正面右に見て、その奥が松の森で、一部紅葉が残っている。中程に右からの岸が突き出し、其処に小さな祠がある。その裏に遠く対岸の森がある。 遠くの水面はさざ波で光り、手前の水面にはボート小屋と森が何となく映って濃い陰影を成している。十時頃から描き始め、一時間ほどで鉛筆によるデッサンを終え、水彩を施し始めた。途中、セブンイレブンで買ってきたお握りをほおばり、休まず描く。二時頃になって、そろそろ疲れてきたが、水面の書き込みが殆ど出来ていない。二三メートル下がってみると、全体に筆のタッチが”チマチマ”している。やはり先生が居ないと、素人の自己流になる。写真を撮ってあるので、後は家で仕上げることにして道具を片付けた。
その後、水面を多少手直ししたが、殆どそのままになっている。仲間は、後で結構手を入れて仕上げているようであるが、私は余り手を入れず、その時の出来具合をそのまま残して、後の作品と比べて上達の程度を見る方法を取っている。確かに手を入れたい気持ちはあるが、手を入れると雰囲気が壊れて台無しになる可能性があるので、そのままにしている。
11月23日に、”クレージー・ペインティング・クラブ(CPC)”の仲間が新築披露を兼ねて枡野邸に集まる。私を除く三人は、秋に出掛けたフランスのスケッチ旅行の成果を持ってくることになっている。仕事の都合で、私だけが行けなかった。集まって、彼等の絵を見せて貰うとき、自分の絵がないのは寂しいので、最低限一枚は持って行こうと、初めて一人で出掛けて松原湖を描いてきたのである。このポイントは、気に入っているので、仲間の先生のコメントを貰った後でも、二三回描いてみたいと思っている。絵を描くのは好きだが、なかなか一人で出掛けるのは億劫なので、これまでやらなかったが、これで吹っ切れたように思う。
これからは時々一人で出掛けることになりそうである。