2.山小屋(山荘、別荘)の用途

 多少の余裕が出来たので、何となく「別荘を建てようか」と言う人が多いような気がする。心の中では、夏の季節に森や高原で何となくゆったりした気分を味わいたいなどと思っている。もう少し具体的には春の森の散策、春から夏にかけての山野草採集・観察、ハイキング、登山、テニス、釣り、秋には紅葉狩り、茸狩り、冬にはスキーなど季節毎の高原を楽しむことも考えている。変わったところで書庫を兼ねて山荘を作る人もいる。以下山小屋、山荘、別荘という言葉を余り区別せずにその時に相応しい表現で綴っていく。
 また、自然の中で色々な創作(著作、木工、手芸、陶芸、園芸、・・・)の趣味を実現したいとか、自然の中で子供を育てたいとか、山や田舎の生活で自分の可能性を広げたいなど積極的な理由で建てる人もいる。そのような人達は山小屋の体裁などに拘らず、山にいるだけで心が満たされる人達であり、山特有の多彩な遊びを見つけて工夫をこらしながら楽しんでいる。

 また山小屋生活には次のような効用もある。企業で活躍している中堅サラリーマンは、おしなべてストレスの中で身を削る思いで毎日を過ごしている。そんな時、山小屋を通じて山や自然の中に入ると、思っているよりずっと心のストレスが癒されるのを実感する。

 山小屋生活と都会生活の本質的な違いは、山小屋には都会につきまとう雑用が一切ないことである。更にホテルや旅館などのように出入りの制約が全くないことである。何時来ても良いし、いつ帰っても良い。またその時の天候、体調、趣味などに合わせて自由に出入りできることである。趣味用の道具立てが全て揃っていて何時でも自由に使える状態になっている。そんなことは都会やホテルでは有り得ない。更に犬や猫などのペットを連れて行ける。別な表現をすれば、パブリックな制約を持つホテルとプライベートな山小屋との違いと言える。

 山小屋を利用する人々の層は、一般に子供が小さい家族、子供が未だ居ない若夫婦、中年の子供の居ない夫婦、子供が独立した壮年の夫婦等が多いように思う。また壮年夫婦の中の男性のみが一人で来て色々な趣味を楽しんでいるケースも多い。更に定常的な使い方ではないが、両親の建てた小屋を使う若夫婦や若者のグループもよく見る。

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